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(2002年11月1日~11月30日)
コソヴォ地方議会選挙 詳報
コソヴォでは10月26日に戦後2度目の地方議会選挙(30自治体、計920議席)が実施され、中央選管委(KQZ)は11月3日に最終集計結果を公表した(→2002年地方選挙結果)。
選挙登録者数1,320,481(在外滞在者を含む)。うち投票者数711,205で平均投票率は53.86%。有効票数は699,399(98.34%)。
前回(2000年10月28日→2000年地方選挙結果)投票が実施されなかったレポサヴィチ、ズビン・ポトク、ズヴェチャンの3カ所でも投票が実施された(ただしセルビア人が大多数を占める最北部のレポサヴィチでは29.79%と最低投票率を記録)。
主要政党・会派の動向について見ると(主要政党については昨年版の臨時増刊号にて詳述)、アルバニア系穏健独立派のLDK、アルバニア系急進独立派のPDKとAAKの3党で多数を占めたが、セルビア系会派КПや他党も大幅に議席を増やしている。
LDKは前回同様、ほぼ3分の2の自治体で第一党となり、コソヴォ議会と同様、最大勢力の座を維持。しかし全ての自治体で得票(率)を減らしており、デチャンではAAKと同議席数にまで落ち込み、リピャン、マリシェヴァではPDKに第一党の座を譲った。
PDKは半数以上の自治体で得票を増やし、リピャン、マリシェヴァではLDKに代わり第一党に。しかしノヴォブルダではКПと同議席数にまで落ち込み、シュトルプツァではКПをはじめ、ДСС、КОС、SPO、PKMなどセルビア系諸党の躍進により議席を大きく減らしている。
AAKは半数弱の自治体で得票率を増やし、デチャンでは議席数でLDKに並んだ。ドラガシュでは初議席を獲得したが、ノヴォブルダ、オビリチ、シュティメでは全議席を失っている。
その他のアルバニア系政党では、PShDKがジャコヴァ、クリナ、プリズレン、ヴィティで現有議席数を維持または増やし、さらにイストグ、ペヤ、フェリザイで初めて議席を獲得。PD、LPK、BKなども地方議会進出を果たした。
前回不参加だったセルビア系の最大会派КПは一気に17自治体で議席を獲得、ノヴォブルダでは議席数でPDKに並んだ。セルビア人が多数を占めるレポサヴィチ、ズヴェチャンではДССやSNVを筆頭にセルビア系諸党が全議席を独占。シュトルプツァでも7つのセルビア系政党・会派が初めて議席を獲得し、これまでLDKとPDKに独占されていた議会の7割以上を占める勢力となった。
少数派・多民族横断型政党の議会進出も広がる傾向にある。VatanやBSDAKなどのボスニア人(ムスリム人)政党はペヤ、プリズレンなど4自治体で、またアシュカル(アルバニア語を母語とするロマ。『ジプシー』)の政党PDAKはフシャ・コソヴァなど3自治体で議席を維持または増やした。トルコ系政党KDTPもプリシュティナとプリズレンで初議席を獲得している。
今回参加した68政党・会派・個人のうち議席を獲得したのは40。女性議員の当選数は262(28.5%)。
(井浦伊知郎 10.11.2002)