辞書で単語を調べながら、ドイツ語の(ドイツ語だけってことはまったくないが…)名詞にどうして性があるのだろう?と考えたことはありませんか?
あるでしょう?
ありますよね?
いや、あるはずだ。
さあ正直に言いなさい!
うっゲホッゲホッ…失礼。
世界の多くの言語には名詞に性の区別があります1。
ドイツ語の場合、名詞にはかならず男性・女性・中性のいずれかの性が決まっています2。これがわからないと、冠詞や形容詞の語尾変化が正確に書けません。
残念ながら、それぞれの名詞の性を日常感覚で類推するのはほとんど無理です。der Vater や die Mutter はむしろ例外と思って下さい。ですから名詞の性はひとつひとつおぼえていくしかない
…ということになっていますが、実は法則らしきものがないわけでもないのです。
それらの法則をごく簡単にあげておきます。
① -ung 、-ei 、-heit 、-keit 、-schaft で終わる名詞は女性。
die Zeitung「新聞」
die Freiheit「自由」
die Bäckerei「パン屋」
die Ewigkeit「永遠」
die Wissenschaft「科学」
② -ion 、-ik 、-tät で終わる名詞は女性。
die Nation「国民」
die Diskussion「議論」
die Musik「音楽」
die Universität「大学」
③ -e で終わる名詞には女性が多い。が男性や中性の場合もあるので注意。
die Sprache「言語」
die Schule「学校」
der Junge「男の子」
das Ende「終わり」
④ -er で終わり、人をあらわす名詞は男性。
これに -in をつけると女性になる。
der Lehrer「教師(♂)」 die Lehrerin「教師(♀)」
der Japaner「日本人(♂)」 der Japanerin「日本人(♀)」
⑤ -chen や -lein で終わる名詞は中性。
das Mädchen「女の子」
das Büchlein「パンフレット」
⑥ 動詞がそのまま名詞化したものは中性。
essen「食べる」 → das Essen「食事」
leben「食べる」 → das Leben「人生」
⑦ 動詞が一部変化して名詞化したものには男性が多い。もちろん、そうならない例もあるので注意。
eintreten「立ち入る」 → der Eintritt「入場」
schließen「閉じる」 → der Schluß「結末」
fahren「(乗り物で)行く」 → die Fahrt「走行」
⑧ 外来語や地名はほとんど中性。が、例外もあるので注意。
das Auto「自動車」
die CD「CD」
der Kimono「着物」3
(das) Japan「日本」【普通は無冠詞】
die Schweiz「スイス」
der Iran「イラン」
まあドイツ人でも性を間違えることはあります。あせらず、くりかえしおぼえましょう。
1 性 gender ( sex ではない!)の概念について詳しく知りたい人はここを読んでみて下さい。
2 ごく少数ですが、方言によって性が異なるものもあります。また名詞によっては2通りの性があり、間違えるとエライことになる例もあります。
das Tor「門」 der Tor (自分で調べましょう)
3 der Nachtmantel(夜着)から類推して男性名詞になっているのではないか、と考えられます。ちなみにドイツでは浴衣みたいな「キモノ」がパジャマの一種として売られています。