ベティム・ムチョ 「L&M」(Betim Muço 1999)



ありふれたこと

めぐる日々
ありふれた出来事と共に
どんな朝のスクープも
夕べには紙くずになる
メディアの甘言は
絶えず我々を翻弄する
そして我々は幸福のうちに過ごし
ひとり満足する。

ああ何たる人生の悲惨
時と共に朽ちていく
蟻の頭をした刹那的な群集の
どこに一体夢がある?
果たして君のせいなのか、
それとも夢見た私が悪いのか?



ティラナ

この街が好きだ
ここで私は生まれ育った
子供の頃はラナ川[Lana ティラナ市中心を東西に流れる川]の水で
ずぶ濡れになった
ここを私は行きつ戻りつした
行きつ戻りつ…
花の香りを知り
ゴミの匂いも知った
たちこめるスモッグを知り
空の青さも知った。
成長する街
その上で人は生まれ人は死ぬ
夜を明かすムスリム
夜を更かすキリスト教徒
倒錯しつつも気高く
争乱に怯える
世界のニュースは
我が家の不幸が
カフェへ届くよりも先に伝わる。
ここが好きで、嫌いで
ここのために行い、何もせず
中傷し、唾を吐きかける
対話の激情の中で
光のない闇の中で
また噴水のはねる音の中で
汚泥と汚水の狭間で
ゴキブリでさえも
私はそこに憧れる
ニュー・ヨークの只中でも
驚くべき憧れは
摩天楼を遥か越える。
何たる愛の刑罰に
私は強く結ばれていることか
私は去ろうとする
だが逃げはしない、決して。



[略]


バルカン
[略]


詩人
[略]


我が政治家の友
[略]


いつもと変わらぬ日
[略]


パリの焼栗

パリの焼栗は
人の郷愁を呼び覚ます:
かの地では、この地に憧れ、
この地では、かの地に憧れる。

パリの焼栗は
人々の想いの様に風をなびかせる
彼らは何も知らず、また知らなかった
何を欲し、何を欲しなかったか。


反射
[略]


大地のバラッド
[略]


キス
[略]


ギリシアの島々

ギリシアの島々
白く美しく
脚で海を叩く
甘やかされた子の様に、

誰をおまえは始めて好きになる?
思い切って言うがいい。

夜明けまで
音楽は鳴り止まない
「来た」かと思えば
また「消えた」

ギリシアの島々
それはまるで「乾杯!」のかけ声だ
グラスを鳴らすことはあっても
決して振り向くな。



[略]

(作家同盟機関紙『ドリタ(Drita)』 1999年3月14日号)

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