最新情報 (10月1日~10月31日)

ベリシャ民主党党首 復活
  投票結果は次の通り;
   議員総数Delegate me mandat 786
   投票者数Delegate qe votuan 683
   サリ・ベリシャVota per Sali Berishen 584
   ウラン・ブトカVota per Uran Butken 81
   無効票Vota te pavlefshme 18
(ATSh 99.10.01)


社会党新指導部
  社会党指導部の選出が16日に行われ、執行部(Komiteti i Pergjithshem Drejtues; KPD)の立候補者31名から12名が選出された。ちなみに執行部119名の内、投票者総数は114名、うち有効票103;
   スパルタク・ポチSpartak Poci
   パンデリ・マイコPandeli Majko
   バシュキム・フィノBashkim Fino
   グラモズ・ルツィGramoz Ruci
   マクブレ・チェチョMakbule Ceco
   イリル・メタIlir Meta
   アルベン・マライArben Malaj
   エルメリンダ・メクスィErmelinda Meksi
   エトヘム・ルカEt'hem Ruka
   リモズ・ディズダリLimoz Dizdari
   イリル・ゼラIlir Zela
   バルヅュル・アガスィBardhyl Agasi

  同じく、選出された書記4名;
   ナミク・ドクレNamik Dokle
   アルタ・ダデArta Dade
   ペトロ・コチPetro Koci
   ルアン・ラマLuan Rama

  これに党首ファトス・ナノFatos Nanoを加えた17人が社会党の新指導部となる。
(ATSh 99.10.16)


社会党大会閉幕 「マイコ派」欠席
  社会党第3回大会は22日の最終討議において、党規約の一部改定を代議員421名中421名の賛成で承認した。規約15条7項の改定によって、党執行部36人は代議員投票で過半数の指示を得なくても承認され得ることになる。改定規約は2000年の地方選挙後に発効する。
  大会はファトス・ナノFatos Nano党首の音頭で23日に閉幕するが、パンデリ・マイコPandeli Majko現内閣の閣僚と、アルバニア欧州社会主義青年フォーラム(FRESSh)[社会党の傘下にある西欧社民路線の青年組織]のメンバーの大部分は最終討議に出席していない。
(ATSh 99.10.22)


マイコ首相 ブルガリア首相と会談
  パンデリ・マイコPandeli Majko首相は25日にブルガリアでイヴァン・コストフIvan Kostov首相と会談し、「安定のための条約Pakti i Stabilitetit」に基づいた計画を、バルカン半島縦断道路「Korridori 8」の建設も含めて、遅滞無く実施することで合意した。
(ATSh 99.10.25)

パンデリ・マイコ辞任
  パンデリ・マイコPandeli Majko首相は、26日昼にもレヂェプ・メイダニRexhep Mejdani大統領に辞任を申し出る。これについて首相府スポークスマンは、マイコ首相が党首選に敗れた社会党第3回大会以後、国内に生じた政治情勢の変化によるものであると述べている。
(ATSh 99.10.25)


後任はイリル・メタ?
  26日にも辞任するパンデリ・マイコPandeli Majko首相の後任に、与党社会党内ではイリル・メタIlir Metaが最有力視されている。社会党のファトス・ナノFatos Nano党首が25日夜のANSA通信に「彼の立候補を支援する」と述べた他、ナミク・ドクレNamik Dokle幹事長も同じ日に「クラン」テレビで、「彼はマイコ首相の右腕であり、次期首相のポストを得る可能性が最も高い」と発言している。
  イリル・メタは、社会党傘下の青年組織であるアルバニア欧州社会主義青年フォーラム(Forumi Rinor Eurosocialist; FRESSh)の創設者の一人。政治家歴10年、社会党では対外関係部書記、マイコ内閣では副首相及び政府調整相を努めた。
(ATSh 99.10.26)

大統領の反応
  パンデリ・マイコPandeli Majko首相は26日、レヂェプ・メイダニRexhep Mejdani大統領に対し、共和国憲法96条に基づき辞任を申し出た。
  これを受けてメイダニ大統領は、コソヴォ危機と避難民流入時におけるマイコ政権のはたらきを評価すると共に、共和国憲法106条に則って新内閣発足までは職務を続行する様、首相と他閣僚に要請した。
(ATSh 99.10.26)

マイコの主張
  パンデリ・マイコPandeli Majko首相は26日の記者会見で辞任の理由について、社会党による自身への支援不足を挙げると共に「党内における冷戦状態をもたらした雰囲気に、不快感を覚える」と述べた。
(ATSh 99.10.26)


ナノ対ベリシャ再び
  パンデリ・マイコPandeli Majko首相の辞任劇についてベルリンの日刊紙「die tagszeitung」は、社会党大会でマイコの側に就いていたマチョ・ラクロリMaqo Lakrori欧州統合局長が24日に辞任した時点で、マイコ辞任は予期されていたという消息筋情報を伝えている。同紙は、社会党首の座に返り咲いたファトス・ナノFatos Nanoがイリル・メタIlir Meta副首相(34)を首相後任に推した背景には、自らの政治的影響力を取り戻し、民主党党首の座に君臨し続ける「宿敵」サリ・ベリシャSali Berishaに対抗する狙いがあるとの見方を示している。
  また27日の首相候補選出に先立って、前日26日のティラナでは主要な交差点で外国車の臨検が行われるなど、不測の事態に備えた予防措置が執られたことも報じられている。
(taz 99.10.27)

首相候補は2人
  パンデリ・マイコPandeli Majko首相の後任候補について社会党の総務会では、ファトス・ナノFatos Nano党首が推す副首相のイリル・メタIlir Metaと、ナミク・ドクレNamik Dokle幹事長が推すティラナ区知事のマクブレ・チェチョMakbule Cecoの2人から投票で選出することになった。
  マクブレ・チェチョ区知事は1948年生まれ、ティラナ大学法政学部出身。当選すれば、アルバニア史上初の女性宰相となる。
(ATSh 99.10.27)

首相候補はイリル・メタ
  27日に社会党の総務会で行われた投票で、イリル・メタIlir Meta副首相がパンデリ・マイコPandeli Majko首相の後任候補として選出された。
  党総務会では119人中113人が投票した。得票数は、イリル・メタに68票、ティラナ区知事マクブレ・チェチョMakbule Cecoに45票。
(ATSh 99.10.27)

ポチ内相留任へ
  イリル・メタIlir Meta新首相は27日に大統領府で任命式を受けた後、記者会見を開いた。会見でメタ新首相は、新政権について「マイコ政権下における経済危機の結果などではなく、社会党の民主化の結果として発足した」との見解を示した。新内閣の人員構成については、28日に行われる連立各党との調整に関係なく、重要なポストには手を加えないつもりであるとして、具体的に、スパルタク・ポチSpartak Poci内相については留任させる方針を示した。
(ATSh 99.10.27)

コソヴォ好調
  コソヴォ暫定評議会(ベルナール・クシュネルBernard Koushner長官)は先週のコソヴォにおける治安状態について協議を行った。協議の後、出席していた暫定政府のハシム・サチHashim Thaci首相は、コソヴォの治安状態に関し「戦闘終結以来、最良の状況にある」と述べ、「国際社会とコソヴォの相互協力による良い兆候のあらわれである」と評価した。一方、少数派のセルビア人住民がセルビア人評議会の決定によって現在もセルビア人武装勢力の庇護下にある状況については「我々には受け入れられない決定だ」とのみ答えた。
  セルビア人勢力は暫定評議会への参加を拒否し続けており、今回も出席しなかった。
(ATSh 99.10.27)


省庁削減
  イリル・メタIlir Metaを首班とする新内閣では、従来の省庁数19の内、改革省Ministria e Reformes Legjislative[機構改革相 minister i reformes institucionaleか?]と議会担当省Ministria e Marredhenieve me Kuvendinと情報省が統合され、17省庁となる。
  また、連立会派「国家のための同盟Aleanca per Shtetin」に加わっている人権同盟党(PBDNj)のヴァスィル・メロVasil Melo党首は、28日にメタ新首相と会談し、同党の保健相ポストを留任させることで合意。
(ATSh 99.10.28)

民主党+共和党 攻勢
  イリル・メタIlir Meta新首相の組閣作業が完了していない中、野党の民主党と共和党が新政権への反対を表明している。民主党のリドヴァン・ボデRidvan Bode幹事長は記者会見で、大統領による首相任命を批判し「大統領は現下の国難を脱するため、国内のあらゆる政治勢力との協議を行うべきだった」と発言した。また共和党のファトミル・メディウFatmir Mediu党首は「メタがマイコPandeli Majkoの同類である限り、新政権には何らの変化も期待できない」と述べた。
(ATSh 99.10.28)


4閣僚留任
  イリル・メタIlir Metaを首班とする新内閣は29日、レヂェプ・メイダニRexhep Mejdani大統領のもとで任命・宣誓式を行った。国防、大蔵、内務、外務の4閣僚は留任。
  なお、パンデリ・マイコPandeli Majko前首相は閣僚入りしなかった。
(AP 99.10.29)

罵詈雑言
  かつて労働党体制打倒の学生運動に加わり、サリ・ベリシャSali Berisha大統領時代には「民主主義のたいまつ」として表彰されたこともあるイリル・メタIlir Metaが首相候補となったことについて、民主党のイェミン・ジャナJemin Gjana副党首は28日、「エンヴェル[・ホヂャ]派」「悪魔」「いやみな奴」、はたまた「無責任」「めくら」「私生児」と、最大級の非難を浴びせた。
[最後の2つは甚だ差別的な表現ですが、原語の"e verber"と"bastard"はまさしくこういう語感なので、敢えてそのまま書きます]
  またジャナは、メタは首相に任命されることでファトス・ナノFatos Nanoに無条件降伏した、と述べ、「彼は、社会党の第13回大会と第14回大会[労働党大会も含めた回数と思われる]でアルバニア欧州社会主義青年フォーラム(FRESSh)[社会党の傘下にある西欧社民路線の青年組織。メタは創設者の一人]に対するエンヴェル派の反感を目の当りにし、自らの理想を投げ捨てて、ナノから首相の椅子を手に入れたのだ」と批判。更に「彼が首相に年名されるということは、国が組織犯罪や腐敗への戦いに失敗することを保証するものであり、アルバニア国民を貧困と苦難に陥れるということだ」と主張している。
(Shekulli 99.10.29)

ドリテロ・アゴリ語る
  パンデリ・マイコPandeli Majkoの後任に同年代のイリル・メタIlir Metaが選ばれたことについて、社会党の長老でもある作家ドリテロ・アゴリDritero Agolliが独立形日刊紙「シェクリ[世紀]」のインタヴューに答えた;
記者;メタ首相をどう見ますか?
アゴリ;新しい政治的感性を持つ勢力が勝利したということです。社会党内には大きな論争もありましたが、そこには一貫して寛容の精神があり、また、アルバニアにおける若い政治勢力が評価されぬままに放置されているわけではない、ということも明らかになりました。イリル・メタを推したファトス・ナノFatos Nano党首も、我が党は若い政治勢力と共にやっていくべきだと言っているのです。
記者;メタ政権はマイコ政権を継続するものとなるでしょうか?或いは?
アゴリ;メタ政権はマイコ政権からの継続です。二人は同年代であるだけでなく、同じ理念を共有しているからです。つまり、政権に大きな変化はないということです。マイコ前首相もよくやりましたし、今後もやってくれるでしょう。
記者;しかし、閣僚ポストを巡る会議ではファトス・ナノとイリル・メタの間でのやり取りが重要な役割を果たした、という話ですが?
アゴリ;そうではないでしょう。ファトス・ナノが党首として結局は寛容の必要性を分かっていましたから、何となくそういうやり方には、なったかも知れませんが。彼はこういう問題、こういう事態について理解しているし、党内主流が若手と共にあることも知っているのですから。
記者;パンデリ・マイコは党首の座も逸し、首相の座からも退きましたが、党内における今後の彼の地位については?
アゴリ;彼はこれから伸びる政治家です。これから更にしっかりしたものの見方を身に付ける様になるでしょう。彼は終わったのでなく、敗北したというよりは、これからキャリアを重ねていく人物です。今回の大きな競争における敗北も、ある種の偶然でしょう。少なくともそう思います。
記者;社会党の分裂が取り沙汰されていますが?
アゴリ;社会党に分裂はありません。それは、社会党の中で最も進歩的かつ最も強力な勢力が若手に配慮しているからでしょう。今だって、我々のような年配組が若者のことを考えているのですから
(Shekulli 99.10.29)


総大主教 アルバニア初訪問
  東方正教会の最高権威[カトリックの総大司教に相当]である総大主教(Patriarku Ekumenik)ヴァルソロメウI世Vartholomeu Iが、11月2~9日の予定で初めて独立派アルバニア正教会を訪問する。
  アルバニア正教会によれば「猊下は平信徒の中の第一人者、諸主教の中の第一人者であり、独立派14教会を領導する御方であり、他のキリスト教諸派や他の諸宗教とも対話される。御滞在に際しては、国家の有力者・宗教指導者との会談の他、ベラトBerat、ジロカスタルGjirokaster、コルチャKorceの各教区訪問、またシュコダルShkoderの『キリスト生誕』派正教会やティラナのディアグノスト『福音』派正教会との対話も予定されている」とのこと。
(ATSh 99.10.30)

メタ政権 議会へ
  10月29日に大統領官邸での宣誓を行ったイリル・メタIlir Meta首相は、次に人民議会での信任投票に望む。11月1日には議会へ政策案「安定のための条約Pakti i Stabilitetit」を提出し、信任投票の実施を要請する。首相は、新政権の政策に前政権との根本的な相違はないこと、また新政権は国内の安定と腐敗との闘争を強化し、国民の信頼獲得と欧州の枠組みへの参加を目指すと述べている。
  一方、新政権に対する右派各党の見方は冷静で、民主党及び共和党は新政権への反対を表明している。また野党の他、与党・社会党内にもメタ政権に不満を抱く勢力が存在するため、信任投票で議会の多数を獲得できるかどうか、今のところ確定的ではない。
(ATSh 99.10.30)

メタ内閣 閣僚名簿
  イリル・メタを首相とする新内閣(閣僚評議会)の陣容は次の通り;

首相(閣僚評議会議長) kryeminister  (M)イリル・メタ Ilir Meta (PS)

副首相 zv/kryeminister 兼 社会労働相 minister i punes dhe ceshtjeve sociale (F)マクブレ・チェチョ Makbule Ceco (PS)

内相 minister i rendit (M)スパルタク・ポチ Spartak Poci (PS)

防衛相 minister i mbrojtjes (M)ルアン・ハイダラガ Luan Hajdaraga (PS) [留任]

外相 minister i jashtem (M)パスカル・ミロ Paskal Milo (PSD) [留任]

法相 minister i drejtesise (M)イリル・パンダ Ilir Panda

蔵相 minister i financave(M) アナスタス・アンジェリ Anastas Angjeli (PS) [留任]

経済・民営化相 minister i ekonomise publike dhe privatizimit (M)ゼフ・プレチ Zef Preci (PS?)

農相 minister i bujqesise (M)ルフテル・ヂュヴェリ Lufter Xhuveli (PA) [留任]

対外経済協力・商業相 ministre e bashkepunimit ekonomike me jashte dhe tregtise (F)エルメリンダ・メクスィ Ermelinda Meksi (PS) [留任]

運輸相 ministre e transportit (F)イングリド・シュリ Ingrid Shuli (PSD) [留任]

公共事業相 minister i puneve publike(運輸から分離) アルベン・デメティ Arben Demeti (PAD) [前政権で地方自治相]

教育相 minister i arsimit dhe shkences (M)エトヘム・ルカ Et'hem Ruka (PS) [留任]

文化・青年・スポーツ相 minister i kultures, rinise dhe sportit (M)エディ・ラマ Edi Rama [留任]

保健相 minister i shendetesise (M)レオナルド・ソリス Leonard Solis (PBDNj) [留任]

地方自治相 minister i pushtetit lokal (M)バシュキム・フィノ Bashkim Fino (PS)

首相付き国務相 minister shteti prane kryeministrit (M)プレチ・ゾガイ Prec Zogaj (PAD)

[首相付き国務相は官房長官に相当する新設ポスト。機構改革相 minister i reformes institucionale、情報相 minister i informacionit、欧州統合局長 sekretar shteti per integrimi europianは名簿に確認されず。他省庁に統合されたものと思われる]

PS=社会党 Partia socialiste
PAD=民主同盟党 Partia Aleanca Demokratike
PSD=社会民主党 Partia Socialdemokrate
PBDNj=人権同盟党 Partia Bashkimi per te Drejtat e Njeriut
PA=農民党 Partia Agrare

(M)男性
(F)女性


(Koha Jone 99.10.30)


サチの反応
  コソヴォ暫定政府のハシム・サチHashim Thaci首相は10月31日、イリル・メタIlir Meta新首相へ祝辞を送り、首相就任に「特別な満足の意を表明する」と共に「困難な時期にあるコソヴォ民衆に対する、アルバニアの心からの支援に感謝」し、「アルバニア民族の利益へ向けて共に働く」ための両国の協同を呼びかけた。
(ATSh 99.10.31)

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