空爆開始以後の最新情報(6月1日~6月30日)

今年の児童文学賞
 6月1日の国際児童デーにあわせて、1998年のアルバニア児童文学賞が発表された。
 童話の部;オズィセ・グリロOdhise Grillo「魔法のりんご Mollet magjike」
 小説の部;アストリト・ビシュチェミAstrit Bishqemi「生きている背嚢 Thesi i gjalle」
 詩・韻文の部;ヂャヒト・ブシェティXhahit Busheti「鳥たちの寝息 Shsht se zogjte po bejne gjume」
 翻訳の部;ディオニス・ブバニDionis Bubani「おとぎ話一週間 Nje jave perralla」。世界の童話を集めた読み物集。挿絵はジェルジ・スパサリGjergj Spathari。
 全国児童作家協会によると、1998年の児童書刊行数は220作。うち約100作は、様々な読み物による詰め合わせの形をとっている。
(ATSh 99.06.01)

日本から農業援助
  日本からアルバニアへ320万ドルの支援が行われる。農業機器組合を通じ、各農家へ農機支援費として支給される予定。
 アルバニアでは総人口の73%が農業に従事している。
(ATSh 99.06.01)



違法キオスク撤去  進む
  ドゥラスDurres市ではこれまでに、アルバニア・テレコム前と「5月1日」公園の違法キオスク約130軒を解体・撤去した。同作業は6月いっぱい続く予定。地元警察の計画によると、まず6月7日、ドゥラス駅前で交通・駐車の妨げになっているキオスクを撤去する。続いてニコ・ドヴァナNiko Dovana体育館の横、ドゥラス市入口、ダリャンDaljan橋周辺、魚市場の建物の周囲、更に考古博物館前の池の周囲で営業している違法キオスクも撤去作業の対象とする。
  ただ、130ものキオスクが取りのかれたあとの広場には鉄板などの残骸が放置されており、景観を損ねている。このため市当局の責任で市職員400人、更に民間会社から300人を動員して清掃活動にあたる。
(ATSh 99.06.02)

30万ユーロ
  コルチャKorceの4つの道路の補修のため、EUより30万ユーロの資金援助が行われる。これは、アスファルトの舗装、歩道の拡張、緑化工事、照明設備に用いられる。コルチャではこの他にも3つのインフラ事業が予定されており、更に30万ユーロの投資が予定されている。
(ATSh 99.06.02)



スーパー・レク
  6月3日午前のティラナ証券取引所ではレクに対するドル安が進み、1ドルが「買い」で135レク、「売り」で136レクとなった。国際金融市場ではユーロやマルクやリラに対してドルの評価が上昇しており、これと逆の現象が起きたことになる。
(ATSh 99.06.03)

砲撃と応戦
  6月3日午前3時から4時にかけてハスHasのレタイLetajとドブルナDobruneの両村にセルビア側から砲撃があった。
  レタイでは、数週間前に砲撃で破損したTVSHの増幅器が、再び標的となった。またベガイBegajでは地元の「クカスTV TV Kukesi」の増幅器が破壊された。
  一方、同じ日の朝8時半から9時にかけて、NATO機がドブルナ近辺のセルビア軍駐留部隊を攻撃した。
(ATSh 99.06.03)



アルバニア政府  和平案を協議
(ATSh 99.06.04)

共和党  和平案に
(ATSh 99.06.04)

サブリ・ゴドの見解
(ATSh 99.06.04)


ルゴヴァがティラナへ?
 ティラナからの報道によると、LDK(コソヴォ民主連盟)代表で「コソヴォ共和国」大統領イブラヒム・ルゴヴァIbrahim Rugovaが6月5日にティラナを訪問する。イタリアのラニエリUmberto Ranieri外務次官の同行で来訪、ティラナに滞在し、コソヴォ避難民と会うことを予定している。ただ、アルバニア政府当局筋[autoriteti]はまったく情報を確認していないという。[同日の別記事には、サリ・ベリシャの招待によるものだという言及もある]
 一方、「コソヴォ暫定政府」首相でUCKのハシム・サチHashim Thaciはティラナに居らず、ルゴヴァ氏の滞在日程にも両者会見の予定は組まれていない模様。
 ところでそのルゴヴァ氏は同日、新しいコソヴォ和平案について伊紙「コッリエーレ・デッラ・セーラCorriere della Sera」の取材に応え「セルビアにだまされてはならない。私にはセルビアの主張を信用することができない」とし、「NATO軍は即時コソヴォに入り、国際監視団によって平和を保証すべきだ」と述べた。一方で「NATOの決定を全面的に支持する」とし、UCKの若い兵士に向けて「武器を下ろし、国の再建に腕を振るって欲しい」と呼びかけた。
(Kosova Info 99.06.05)

ルゴヴァ  ドタキャン?
 6月5日中のアルバニア訪問が報じられていたLDK(コソヴォ民主連盟)のイブラヒム・ルゴヴァIbrahim Rugova代表について、アルバニア外務省高官は「技術的な理由により今日は来ない」と述べた。それ以上の詳細は明らかにされていない。
 「ルゴヴァ訪問」の情報は6月4日夜から5日朝にかけ、政府当局の情報として定時ニュースで報じられた。ここ2年の間に何度もアルバニア政府からの招待を受けながら「出来るだけ早い時期に」と答えるだけで具体的な訪問日程を示してこなかったルゴヴァ氏については、そのアルバニアに対する政治姿勢に疑問が呈されている。
 マケドニアの避難民キャンプを訪れたルゴヴァ氏が、同地でアルバニア政府関係者と会見する予定だったにも関わらず、何の説明もなしにパリへ発ってしまったというエピソードもある。
 アルバニア政府はコソヴォの各政治勢力に対し、ティラナでの結集を求め続けてきた。「コソヴォ暫定政府」のハシム・サチHashim Thaci首相もルゴヴァ氏に公式会見を呼びかけているが、肯定的な返答を得ていない。
(ATSh 99.06.05)

区知事宅で爆発
  6月5日午前1時頃、シュコダルShkoderのイェトミル・シュプザJetmir Shpuzaシュコダル区知事宅の玄関で、何者かが仕掛けたTNT火薬が爆発した。現場は、パルティザニPartizani地区のアパートの3階で、ルイジ・グラクチLuigj Gurakuqi大学の近く。この爆発で知事宅ほか1軒の玄関と窓が破損した。
  現場検証には公安省職員が出向き、証拠物件を持ち帰った。シュプザ知事は「これは明らかなテロ行為であり、警察には犯人の解明を求める」と述べた。シュコダルではすでに行政関係者宅に爆発物が仕掛けられる事件が相次ぎ、今回で7度目。
  同日、アルバニア情報省は「コソヴォ避難民の救援に全力を傾けているこの時期に、許すべからざるテロ行為であり、真相究明に全力を尽くす」との政府声明を発表した。
(ATSh 99.06.05)

北部国境地帯に最大規模の砲撃 4名死傷
 6月4日夜から5日の朝にかけて、ハスHas区に属する国境附近の村落ほぼ全域にセルビア側から砲撃が行われた。
 この攻撃で、ペロライPerrollaj村ではハリル・ウクレライとHalil Ukterajとナズミ・ウクテライNazmi Ukterajの両氏が負傷。またゴライGolaj村ではラマダン・ルシRamadan Lushi氏が負傷、ラヴディ・ルシLavdie Lushi(19)[名前と年齢差から見ておそらく娘ではないか]が死亡した。
 砲撃は特にレタイLetaj、ポガイPogaj、キシャイKishaj、ドブルナDobruneその他各村に集中した。ちなみにゴライは国境から4km、ヘルシャンHelshanは7km、ペロライは5kmしか離れていない。砲撃が始まったのは4日午後7時半で、それから断続的に行われた。今回の攻撃は、これまでの2カ月間で最大規模のものだという。
(Kosova Info 99.06.05)



各国のコソヴォ・アルバニア人避難者数
  ティラナのUNCHRが最新の避難者数を発表した;


  マケドニアから他国へ移った人数とその行先(国名五十音順);

(ATSh 99.06.06)

アデム・デマチ 和平案を非難


驚くに値しない
  クマノヴォKumanoveにおけるNATOとユーゴスラヴィア軍の会談の中断について、アルバニア外務省は「アルバニア政府にとって何ら驚くべきことではない」との態度を示している。同省のスポークスパーソンであるソコル・ジョカSokol Gjoka氏は6月7日の記者会見で「ベオグラード側が国際社会の圧力によって認めた約束を履行しようとしないのはこれが初めてではない」とし、「ミロシェヴィチとベオグラード当局は、彼らの思惑を達成するために時間稼ぎをし、交渉をより優位に運ぼうとしている」と述べた。
  一方この日、UCK(コソヴォ解放軍)のカドリ・クリュエズィウKadri Kryeziu氏も会見で「UCKとしては、これまでのミロシェヴィチに関わる経験から、今回の件についても意外とは思っていない」とし、NATOによる空爆の継続を主張した。
(ATSh 99.06.07)

首相 新法相推薦
 メイダニRexhep Meidaniは、最高裁長官に任命されたスィミオ・コンディThimio Kondiの後任として、マイコPandeli Majko首相の推薦に従ってイリル・パンダIlir Panda氏を新しい法相に任命した。
 6月7日の任命式でマイコ首相は、「アルバニア社会は、犯罪や横領と訣別するための新しい転機に立っている」として、アルバニア社会に「司法の独立」と「法治主義」を確立する重要性を強調し、パンダ氏の推薦について「新しい法相は政治家でなく実務家でなければならない」と推薦の辞を述べた。
(ATSh 99.06.07)



最良と最悪
 アルバニアのメイダニRexhep Meidani大統領は6月8日、マリアスAleksandros Malliasギリシア大使一行と共に、ギリシア政府の援助で設営されたティラナ郊外のキャンプ(2650人が生活中)を訪問した。大統領顧問プレチ・ゾガイPrec Zogaj氏が同訪問地で会見し、「避難民達が夏の間にコソヴォへ帰還できることが望ましい」としながらも「最悪の事態にも備えが必要だ」と述べ、避難民がキャンプ地で冬を越すための準備も必要だとの見解を明らかにした。
 また、以前にも取り沙汰されたルゴヴァ-サチ-チョスャ会見の可能性については、「彼らの間に良好な関係が築かれることを希望している」が、「会見実施の情報は特に入っていない」と述べた。[コソヴォ民主連盟代表Ibrahim Rugovaは穏健派で『コソヴォ共和国』大統領。コソヴォ解放軍のHashim Thaciは『コソヴォ臨時政府』の首相。Rexhep Qosjaはコソヴォの学者・評論家で穏健派]
(ATSh 99.06.08)

法相人事に与党から異論
 6月7日に大統領から任命されたイリル・パンダIlir Panda新法相について、人民議会の与党・社会党のグラモズ・ルチGramoz Ruci議員団長は8日、「社会党議員団による充分な議論を得ておらず、喝采を贈ることはできない」と首相及び大統領主導による今回の人事を批判した。[首相も大統領も社会党出身]
 ルチ氏は「こうした問題には議員団の議論を経るのが当然だ」としながらも、特別な決議等は出さず、6月10日の人民議会で然るべき態度を表明すると述べた。
(ATSh 99.06.08)

2名逮捕
  シュコダルShkoderで頻発する爆破事件に関連してアルバニア公安省当局は6月8日、シュコダル区警察が同地に住む20代の男性2人を逮捕したと発表した。この2人は社会党シュコダル区委員会のダシャミル・ディニDashamir Dini委員長宅にTNT爆弾を仕掛け、爆発させた疑い。この事件でけが人はなかった。
  一方、6月5日にイェトミル・シュプザJetmir Shpuza区知事宅を爆破した犯人は、まだ見つかっていない。
(ATSh 99.06.08)



(ATSh 99.06.09)

移動なし
 6月10日午前中の時点で、クカスKukesから他の地方への避難者はまったくなく、移送用車輌も中央広場に待機したまま。避難民移送担当の責任者チェマル・パルラクQemal Parllaku氏によれば、NATOとユーゴスラヴィアによる和平合意以降、避難民の移動は途絶えている。コソヴォ・アルバニア人達はクカスからの移動を拒否しており、出来るだけ早いコソヴォへの帰還を望んでいるという。
 また国境警備当局によれば、6月9日にモリナMorineを越えてコソヴォから逃れてきた人はいなかった。
 コソヴォからクカスへの避難民総数は、3月26日から現在までの時点で418135人。うち350998人が他の地方へ移り、車輌20245台が使用された。
(ATSh 99.06.10)

ゴド「戦争は終わった」
 アルバニア政府のサブリ・ゴドSabri Godo外交政策委員長[前・共和党党首]は6月10日[10日とあるが記事日付は9日。誤記?]、和平合意達成について「コソヴォの戦争は終わった。NATOは勝利し、コソヴォの自由と独立への道が開かれた」と評価した。ゴド氏は「事態を引き続き見守る必要がある」と慎重な見方をしながらも、「セルビアがNATOを全面的に受け入れるまでに、アルバニアがミロシェヴィチとの協同を再開することはあり得るだろう」と述べた。
 コソヴォの今後について同氏は、「コソヴォは統治機構の強化に向けて活動しなければならない。現在は、コソヴォにとって1912年[セルビア、モンテネグロ、ブルガリア、ギリシアが『バルカン連盟』を結成し、第一次バルカン戦争が開始された年]以来の重大な時期であり、コソヴォの政治勢力の一刻も早い結集が必要だ」と述べ、人民議会が来週にもアルバニア大統領、アルバニア政府、コソヴォの主要な政治家、それに「コソヴォ臨時政府」のハシム・サチHashim Thaci首相も交えた議会を招集するよう求めた。
(ATSh 99.06.10)

ゴド ロシア軍に期待
 6月10日、アルバニア政府のサブリ・ゴドSabri Godo外交政策委員長[前・共和党党首]はコソヴォ停戦監視のためのロシア軍参加について「ロシア軍が監視活動の安定を損なうことはないと思う」と述べ、「ロシア軍はNATO軍と緊密な関係を保っており、ボスニアの時と同様の役割を果たし得るだろう」との見解を示した。また、コソヴォ分割の可能性については「目下すべてがNATOの統制下にある」と、その懸念を否定した。
(ATSh 99.06.10)

人民議会、新法相を承認
 6月10日のアルバニア人民議会は、最高裁長官に転任するスィミオ・コンディThimio Kondi氏の法相退任とイリル・パンダIlir Dhimiter Panda氏の法相就任に関する大統領令を、賛成多数で承認した。票の内訳は、賛成62票、反対4票、棄権16票。[前々日にこの新人事を批判していた社会党議員団も、賛成に廻ったということになる]
 パンダ氏は法曹一筋の実務家で、どの政党にも属していない。今回の人事には、前任者のコンディ氏同様に無党派の人物を求めたマイコPandeli Majko首相の意向が表れている。
(ATSh 99.06.10)



(ATSh 99.06.11)

英軍機 着陸失敗
 6月11日午後11時15分頃、NATO所属の英軍C-130型機がクカスKukesのメテオルMeteor飛行場で着陸に失敗、炎上したが、けが人はなかった。事故原因は不明。
 同機は滑走路を1.5km以上滑って外へ飛び出し、火を噴いた。乗員12名は救出された。クカスへNATO機が往来するようになってからの3ヶ月間で、最初の事故となった。
(ATSh 99.06.12)


喜びの声
 コソヴォ和平合意を受けて、ティラナのコソヴォ・アルバニア人の避難施設では歓声が上がった。
「やっと、セルビア軍が我々の土地からいなくなる」
と語る人々の中には、コソヴォに民間の監視団が展開することにも楽観的な見方がある。
 とりわけ喜びが大きいのは、これまで戦争の悲惨を、間接的にであれ生き延びてきた子供たち。
「これからはもう戦争もない」
と確信を持っている。
 一方で人々は、家を焼かれ破壊されている以上、直ちにコソヴォへ戻れるとも思えないでいる。A.コスニ A.Kosuni氏(50)は「思いは更に強くなる」と語る。
疑心暗鬼に疲れ果てながらも、希望の灯は失われていない。B.タヒリ B.Tahiri氏(46)は「ミロシェヴィチは全然信用できない。NATOには大いに期待している」と語る。セルビア人との共存は可能か?と問うと
「時間が解決するよ。これまでは共存できたんだから…でも今は、セルビア人とまともに顔をあわせられるかどうかも分からないんだ」彼もコソヴォに戻る決意でいる。理由は「コソヴォが恋しいからさ」
(ATSh 99.06.12)


新法相 宣誓
 6月10日の人民議会で承認されたイリル・パンダIlir Panda新法相は6月12日、メイダニRexhep Meidani大統領の前で就任宣誓を行い、その後、司法機構の再編・強化について大統領と会談した。
(ATSh 99.06.12)



(ATSh 99.06.13)

(ATSh 99.06.14)

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